僕は、普段抽象画を描いているのだが、この抽象画を描くと言う作業、どう言う文脈で、
どう言う意図で描くのか?西洋美術のカンディンスキーや、モンドリアン、抽象表現主
義に影響されて、と言うものでもない。僕は、音のスクラップ、コラージュも創るのだ
が、音楽で言えば、歌詞のないアンビエントミュージックといったところだろうか?ま
た、面白いと感じた風景を写真に撮ることもする。その風景は、抽象画イメージとして
観ても面白い。また、自分の描いた抽象画が、いいのができた、と思って、画家でもあ
る妻に見せ「いいのができたね!」と言われると非常に嬉しいし、「もう一つ何かが欲
しいかな?」言われると、やはりそうかなともおもう。そこには、言葉では現せないが、
明確な基準がある。例えば、ジャズセッションでも、アドリブで演奏しても、リズム感、
グルーブ感、全体的な調和、といった、やはり明確な秩序がある。また、ゴッホの絵な
どは、どんな国籍、宗教、人種であれ、共通して皆感じる「何か」がある。それは、あ
る種人間の深い領域での普遍性に到達しているので、いろんな国、立場の人に、等しく
何かを彼の絵から感じるのだろう。その普遍性とは、新しいとか古いとか言うものでも
ない。自分も、抽象画を描く時、美術の歴史、と言うより、何か、人間の普遍性に向け
て、より深くなるような絵画制作を試みている。決して、デタラメに描いたのが抽象画
ではない。